ちょっと自転車の話題からはそれますが。。。
お店を開業するにあたり、参考にさせて頂いたお店は幾つかあるのですが、私の中でこういう店が良いな、と心の奥底で思っていたお店は、実は以前お世話になっていた車屋さんです。
表題のガレージ・プラス10というお店。今はもうありません。府中にあったオールドミニの専門店。
府中の運転免許試験場のちょっと先にあった、店主さんが一人でやられていた小さなお店で、主にMINIを始めとする英国車の修理をメインにやられていました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、MINIという車は、まあトラブルには事欠かなく、継続的なメンテンスが不可欠な車体です。
3000kmごとのオイル交換を始め、6000km辺りでヘタリ始めるエンジンステディロッドのブッシュ交換、オーバーヒート対策、雨漏り対策、ラバーコーンサスのヘタリによる車高調整、ドラムブレーキのオイル漏れ、ライトが暗い、バッテリーが上がる等々、国産車では考えられないトラブルの連続。
走行中にボンネットが開く、ヒューズが溶けてウインカーが点かなくなる、大雨でエンジンがミスファイアーを起こして走行不能なんてこともありました(笑)
でも、ちゃんとした知識と技術を持ったお店であれば様々な問題にも対処出来るし、そうしたトラブルを事前に回避するノウハウも、豊富にあります。
ガレージプラス10は、そんなお店でした。
MINIに乗っていたのは14年間。乗鞍、美ヶ原、もてぎ、つくば、富士スピードウエイなど、この小さい車でレースの遠征にもよく行きました。
トラブルの多いMINIのメンテナンスに対してズバっ!といつも私にとっての最適解を導いてくれ、黙々と車と格闘する店主さんは、私にとってメカニックの一つの理想像です。
千葉にドライブに出た日、大雨に遭ってしまい、点火プラグが浸水してエンジンが止まった事がありました。困り果ててお店に電話したら、
"雨宿りして乾かせ、そうすれば大丈夫。そしてグリル内側にダンボール紙とかで良いので水の侵入を防ぐものを入れておけ!"
という指示でした(笑)
マジか〜、と思いましたが、言われた通りコンビニでお菓子を調達して空き箱をグリル内側に配置し、運良く屋根のある駐車場で止まったのでそこで小一時間位お菓子を食べながら待っていると、
エンジンは無事再始動し、グリル内側の段ボールは水の侵入を防ぎ、雨の中、無事帰宅出来た事がありました。
多分、ミニの事をよく知らないクルマ屋さんなら、原因がどこなのかも分からないでしょうし、こうした指示も出せなかったでしょう(そもそも国産車なら点火プラグは浸水しない、する場所には配置されない💦)。
グリルのすぐ裏に点火プラグがあり、簡易的なカバーが付いているだけという、浸水しやすい構造を知っていたのと、水避けはダンボールとか紙でいい、というのにポイントがあったのだと思います(詳しい理由は未だ分からず)。
まあ、こんな逸話は他にも沢山あり、こう言った対処策が色々な経験に裏打ちされたもので、専門店のノウハウってやはりすごいな〜、と感動する事が沢山ありました。
当時、私は自転車のメカニックスタッフとして比較的大きなプロショップで経験を積んでいた最中だったのですが、新車を組み立てるのも勿論好きですが、修理をしてお客さんに喜んで貰えることも好きでした。
自転車も、MINIと同じでメンテナンスが不可欠な乗り物。
いずれ自分のお店を持った時は、小さくてもいいからこうしてお客さんと1対1で向き合い、確かな技術を持ち、沢山のノウハウで自転車を修理して、お客さんに喜んでもらえるメカニックになりたい、という思いをずっと心の奥底に抱いていました。
お客さんの要望に対し、「プラス10」で返せるお店。
ガレージプラス10。とても良い名前ですよね。
MINIを手放してからはお店に行く用事もなくなってしまい、また遊びにおいで、と言ってくれてたのに、用もなく行くのは気が引けるな~、と思い足が遠のいて数年後、お店の前を通ったら、そこは更地になっていました。。。
移転したのか、ご高齢だったので店を畳んだのか、調べても確たる情報は出て来ません。
でも、私の理想とするメカニックの姿は、今もガレージプラス10にあります。
加藤さん、元気かな~。