コルナゴ C40
私が語るまでもなく、歴史に残る傑作バイクです。
このバイク、1999年モデルで、20年以上前に購入しました。
仕事柄、色々なバイクを購入しては手放してを繰り返してきましたが、意外にも90年代後半から2000年前後のバイクが、まだ数台手元に残っています。
この頃は、頑張って自社生産していたイタリアのメーカーもまだまだあって、そういうメーカーに強い憧れを持っていました。
自転車に興味を持った頃は手の届かなかったイタリアンバイクが、働くようになってようやく買えるようになり、やっと購入出来た〜!そんなバイクのうちの1台です。
常に複数のバイクが稼働していたので、このC40は良いバイクなのに実は意外と乗りに行く機会は少なく、宝の持ち腐れだな〜、と自問自答しつつ所有して来ました。
そんな折、このバイクにずっと憧れていたというお客さんがいて、お譲りする事になりました。
パーツの入れ替え作業、開始。
この年式のC40は、プレシサフォーク(マスターXライトでも使われていますね)というクロモリフォークが標準装備ですが、後期型のB-STAYで採用されたSTARカーボンフォークに差し替えて使っていました。
プレシサフォークよりも重量が大分軽くなるので、私はこちらが好みでした
430g。今となっては普通ですが、当時としては画期的な重量
対するプレシサフォークは、、、
685g!これでも、クロモリフォークとしては軽いです。
スターカーボンとは250gくらいの差ですが、かなりハンドル周りの軽さには影響がありました。素材の特性による振動吸収の違いも大きいです。
でも、プレシサフォークも銘品と言われます。
レーシングカーやバイクの足回りは直線のパーツで構成されるのに、何故自転車は曲がっているのか?という会話から、ストレートフォークは産まれたと言われています。かのエンツォ・フェラーリとエルネスト・コルナゴの逸話です。
螺旋状のリブは、当時クロモリチューブの最高峰だったコロンバス・SLXのステー菅の証です。
BBは、玉辺り調整、グリスアップが可能な7700系デュラエース。まだ在庫ありました。
何気ないBBシェルですが、接着が剥離しにくくなるようカーボンの本体とアルミのBBシェルの間にチタンを噛ませてたり、4つのカギ状の突起を入れて絶対にBBが動かないようにする工夫が見られます。今ほどの接着技術がない当時、至る所に垣間見られる工夫。
ピラーは28mmという特殊なサイズなので、専用品でないと使えません。それ以外を使いたかったので、28mm→27.2mmに変換するシムを入れてあります
そして、ボトルの取り付けボルトがM4サイズ。
今は殆どM5が使われていますが何故?と思い当時代理店の方に聞いたら、落車でボトルケージに力がかかった時に、敢えて折れやすい細身のボルトを使用する事で、フレームへのダメージを防ぐ為だそうです。
レースの現場で実際あった案件に対応して行き着いた答えがM4ボルトだという。
当時、この話を聞いてコルナゴ凄い〜!と鳥肌がたったのを今でも覚えています。
ポリッシャー研磨後にガラスコーティングを施工
所々、不揃いのカーボン繊維が、何だか艶めかしい。
膨大な数のラグを用意して、細かいスケルトンオーダーに対応していたのは有名な話。
90年代後半、イタリアのチーム、マペイがロードレースで勝ちまくっていた時に使っていたのが、まさにこのバイク。
ヨハン・ムセウ、アンドレア・タフィ、パベル・トンコフ、そして日本の阿部良之さんなど、活躍した選手は枚挙に暇がないくらい、沢山います。
お譲りするお客さんも、やはり当時のレースが好きで、C40に憧れを抱いていました。
たまにこれに乗って走りに行くと、かっこいいね〜、とその都度声をかけて頂いて
「これなら上がりの1台でも良いよ!」
なんて口説き文句を言われてしまいました^^;
私の元で日の目を見ないより、もっと可愛がってくれるオーナーさんに乗ってもらいたいなあ!
という思いが巡り出し、お譲りするに至ったのでした。
パーツは主に7800系のデュラエースですが
、クランクとハブは7700系です。
ホイールは、MAVICのOPEN PRO。良い雰囲気が出てます。
8kgは切れました。
お客さん希望のパーツの入れ替え作業をやりつつ、本当によく出来たフレームだし、良く走るし、塗装も素晴らしく、このバイクに関われただけでも幸せだな〜、としみじみと、でも楽しみながら作業をしてまいりました。
25年前にこの塗装のクオリティ。ステッカーではなく、ペイントによる仕上げです。イタリア・パマペイントの職人による見事な仕事です。
大事にしてくれるオーナーさんが見つかり、寂しいという思いは全然ありません。
打ち合わせの時もとても嬉しそうに話すお客さんを見て、こちらも嬉しくなりました。
晴れ晴れとした気持ちで送りだせそうです(^^)